今日もご覧いただきありがとうございます.
FIRE(Financial Independence Retire Early)ムーブメントは日本でもかなり浸透してきましたね.
FIREという言葉について簡単に説明すると
資産を貯めて配当金や貯金によって働かずとも生活できる状態をFI(Financial independence:経済的自立).
FIの状態に到達して生活のための仕事を辞めるRE(Retirement early:早期退職)を合わせてFIREです.
日本ではここ1,2年の間に一気にブームになった印象ですが,
アメリカでは2010年代から若者の間でブームとなっていたようです.
今回は2020年3月に発刊され,投資・ビジネス関連の本では上位に選出されるFIRE 最強の早期リタイア術について解説していこうと思います.
FIRE 最強の早期リタイア術はどんな人にオススメ?
この本は,これから資産運用を始めていきたい,FIREという言葉をよく聞くけど詳しくはわからない
といった方へオススメです.
投資や資産運用についてすでにある程度勉強している人は知識の再確認にもいいです.
簡単な内容のダイジェストは以下の通りです.
・筆者は極貧状態から努力と工夫でFIREを達成 ・投資テクニックとしては基本に忠実 ・4%ルールとその応用 ・筆者はDINKs ・お金ではなく「時間」のための本
投資のテクニック本ではなく,サクセスストーリー?
筆者のクリスティー・シェンさんは中国で生まれ,両親の仕事でカナダに移住した背景があります.
中国時代はかなり貧しかったようで最初の50ページは貧しかった時のエピソードが多く紹介されているのが印象に残りました.
医療廃棄物の山から注射器などを拾い,遊びに使っていた.
初めてコーラを飲んだ時に感動して,一缶を1週間かけて大事に飲んだ.
日本の状況だとなかなか想像できない環境ですよね.
彼女が貧しかった時代をページを割いて紹介しているのは,
そんな困難な環境でも努力と工夫でFIREを達成できたということを伝えたかったのでしょう.
また彼女は大学の専攻を選ぶ際も自分の夢よりも現実的な選択をしました.
本当はライターや作家になりたかったようですが,学費などのコストに対する期待リターン(給料)がより高いコンピュータ・エンジニアリングを専攻しました.
就職活動の際に給料を見比べて職を選ぶ人はいると思いますが,大学の専攻から「自分のやりたいこと」より見込みリターンが大きい方を選択できるリアリストぶりは驚きです.
しかし彼女は夢を諦めたわけではなく,FIRE達成後に児童小説を出版しています.
まずは経済的に自立してから,本当に自分がやりたいことに全力を注ぐ.
普通の人は自分のやりたいことを優先してしまいます.
それ自体は素晴らしいことなのですが,収入など現実的な問題に直面して諦める人も多いです.
目先のお金のことを気にせずにやりたいことを追求できる環境は羨ましいですね.
この本は,投資テクニックの本ではなく苦難の状況から努力によって経済的自立を達成した女性のサクセスストーリーとも言えます.
収入,節約,投資の能力を伸ばすことが資産形成の王道
収入を伸ばし,無駄な出費を節約しながら自分の許容リスクに合わせて投資することでお金を増やしていくことが資産形成において重要です.
【収入】 ・期待できる給料が高い職業を選択 ・夫婦共働き 【節約】 ・ローンで購入することは避ける ・住宅,車,保険を見直し不要なものは手放す ・マイホームは資産にならない物件の方が多い.賃貸よりも割安になる状況もあるが,きちんと計算することが重要 【投資】 ・インデックス投資を中心に分散投資 ・自分のリスク許容度に応じたポートフォリオ 筆者の場合は株式:債権=6:4 ・ポートフォリオの割合が崩れたらリバランシングをする
上記が筆者が実践してきた資産形成の手法です.
これまで資産運用の勉強をされてきた方は,多くの本で紹介されている「王道」的な方法ですね.
私も特に目新しさなどは感じませんでした.
ただ斬新さや独自性はなくても,基本に沿って資産形成をしていくと再現性高く億万長者になることができるということですね.
FXやビットコインなどで一時的に収入を上げることができても節約と投資が欠けていると積み上げた資産を守ることができないので収入・節約・投資をバランスよく伸ばしていきましょう.
同じように貧しい状況からも「四分の一貯金法」などで億万長者になった本多静六氏の書籍です.
4%ルールの盲点と対策 現金クッションと利回りシールド
FIRE界隈では4%ルールが有名ですよね.
4%ルールとは,もし1年間の生活費が投資ポートフォリオの4%と等しい金額であれば,リタイアしても95%の確率で30年以上にわたり老後資金が底をつかないという法則です.
174pより引用
4%ルールはアメリカのトリニティ大学の発表した論文が元になっています.
例えば,年間の生活費が400万円の人は1億円のポートフォリオがあれば働かなくてもかなりの確率で30年以上資金を枯らすことがないというものです.
つまり生活費の25年分の資産を築くことができれば仕事を引退するチャンスがあるということです.
ただこの4%ルールも5%の確率で資産を全て失ってしまった人がいるということを忘れてはいけません.
それはどんな人かというと4%ルールに従いリタイアした直後に暴落が起きるパターンです.
暴落により資産がどんどん目減りしていく中で自分の生活費も引き出さなければなりません.
暴落はいつかは終わり,景気の上昇が再び来ると信じるのはかなり胆力がいることですよね.
そのための仕組みとして筆者が提案しているのが
現金クッションと利回りシールドです.
- 現金クッションとは
暴落時を耐えるために生活費の5年分の現金を用意しておくことで投資ポートフォリオから切り崩す必要がありません.
5年分というのはこれまでの暴落時に経済が回復するまでの期間から設定された年数です.
最悪の世界恐慌の時は5年,リーマンショック時は2年かかったとのことです.
それでは年間の生活費が400万円の人は現金クッションとして2000万円を貯めることになります.
2000万円を現金で用意することもなかなか難易度が高いですよね.
そこで貯めておく現金クッションの額を抑えてくれる対策が利回りシールドです. - 利回りシールド
ETFや高配当株からの分配金を加えることで現金クッションとして用意する金額を減らすことができます.
筆者は以下のような公式を推奨しています.
現金クッション=(年間支出ー年間利回り)×5年
183pより抜粋
具体的な数字に落とし込むと
年間生活費が400万円の人で,ポートフォリオの規模が1億円,年間利回りが2.5%の場合
現金クッション=(400-250)×5年
=750万円
用意すべき現金クッションは2000万円から750万円まで減りましたね.
この作戦は,ポートフォリオの内容がかなり重要だと思います.
基本的ですが,ポートフォリオの内容を分散しておくことで資産の急激な下落を防ぎましょう.
配当利回りが高い投資商品ほど変動リスクが高いのでどこまでリスクを許容するか,現金を用意するかを自分の中でルールを決めないといけません.
筆者はDINKs
DINKs(Double Income No Kids)という言葉があります.
共働きで子供を持たない夫婦のことをいい,筆者はDINKsに該当します.
子供一人を育てるための費用は2000万円とも言われています.
資産形成の観点だけから見ると子供はブレーキになってしまいます.
そのため筆者も「子供がいないからFIREできたんだ」という指摘を多く受けたはずです.
書籍では,子育てをしながらFIREした知人の話を交えながら反論しています.
ただ正直なところこれまで自分の実体験を元に話を展開してきたからか,論調が弱くなった印象は拭まえんでした・・・
FIREに対して「独身もしくは夫婦のみ家庭しか達成できない」という意見もよく見られます.
ただ,子育てはお金に変えられない貴重な経験だと思います.
このFIREブームで今後子育てをしながらFIREを達成した人たちも増えてくるはずです.
実際に子供を育てながら老後まで逃げ切った人たちの方法も読んでみたいです.
FIREで重要なことはお金を得ることではなく自由を得ること
これまでいかに資産を築くかについて話を進めてきましたが,
重要なことはお金をいかに増やすかではなくいかにして自由を得るかです.
日本では早期退職の“RE”に注目が集まっているようですが,
本質は経済的自立の“FI”の方だと個人的には思います
その仕事を続けるか辞めるかの決定権を握ることで人生をより自由に生きることができると思います.
仕事を辞めることがでるほどお金を稼げたら人生ゴールというわけではないことを履き違えないようにしないといけませんね.
コメント