こんにちは。
総会に参加されていた先生方はお疲れ様でした。
今日は脳梗塞編です。
脳梗塞編は急性期治療と慢性期管理の2回に分けて書きます。
脳卒中一般編はこちら
脳梗塞急性期治療のガイドライン2021改訂ポイント
・軽症例に対するrt-PA投与
・血栓回収
軽症例に対するrt-PA投与
脳梗塞軽症例であっても適応を慎重に検討した上で、rt-PAの投与を考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル中)
脳卒中ガイドライン2021 54pより
発症間もない軽症脳梗塞患者へのrt-PA投与は施設や医師によって意見が分かれるため判断が難しいですよね。
今回のガイドラインでもNIHSS5点以下の軽症脳梗塞に対してrt-PA(0.9mg/kg)投与群とアスピリン(325mg/day)投与群で比較したPRISMSが紹介されていました。
結果は90日後の転帰に有意差はなく、rt-PA投与群で症候性頭蓋内出血が多い結果となりました。
これだけを見ると軽症脳梗塞ではrt-PAを投与しない方がいいんじゃないかと思いがちですが注意しないといけない点があります。
日本でのrt-PA投与量(0.6mg/kg)と異なる点、アジア人が母集団にほとんど含まれていないという点です。
rt-PA治療指針でも軽症脳梗塞は慎重投与であり、適応外とはなっていません。
個人的には軽症例は症状によって投与を判断します。
感覚障害のみなら投与しない。麻痺があるなら投与するなど。
血栓回収
内頚動脈、中大脳動脈M1部またはM2近位部の急性閉塞による脳梗塞では、発症から4.5時間以内にrt-PA投与を行わずに、機械的血栓回収療法を開始することを考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル中)
脳卒中ガイドライン2021 60pより
従来であれば血栓回収ができない施設に急性期脳梗塞患者が運ばれたら、rt-PAを投与して血栓回収ができる施設へ搬送するdrip ship and retrieveが勧められていました。
しかし閉塞部位によってはrt-PAの投与は省き直接血栓回収をしても良くなりました。
慣れていない施設や初療が脳外科や脳神経内科以外の先生が担当されている場所だとdripまでの時間がかかってしまうことがあります。
「Time is brain」という標語もあるように秒単位で患者さんの予後が変わってしまいます。
血栓回収は医師だけでなく、看護師、放射線技師などチームでタイムアタックのように怒涛の勢いで治療が進められます。
治療開始までの時間を短縮するためには各スタッフの役割を明示したり診療の流れをプロトコール化する必要があります。
1ヶ月に1回適応症例がくる病院と毎日くる病院ではスピードが違ってくるのは当然です。
そういったことから症例を慣れている施設へ集約する流れは必然だと思います。
ただ地方によっては病院間の距離が離れていたり、医師不足によって集約化への課題は山積みです。
国レベルで大きな改革が必要なので、お偉いさん方は権利欲や名誉欲など捨てて協力して欲しいですね。
まとめ
絶対適応の症例より、各医師によって意見が分かれるグレーゾーンの症例は難しいですよね。
今後もエビデンスを積み上げていきグレーゾーンの境を詰めていくことが重要です。
また、実臨床では院内でプロトコール作成や病院間連携を強めて「秒単位」で脳梗塞診療を改善していければいいなと思います。
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