脳卒中ガイドライン2021 改訂ポイント 脳出血編

医学

こんにちは。

総会が行われていますが大人しく病院で日常診療をしております。

今回は脳出血編です。

脳卒中ガイドライン2021改訂ポイント

・脳出血の血圧コントロール

・抗血栓療法中の脳出血

脳出血編では以上の2点について取り上げたいと思います。

脳出血の血圧コントロール

脳出血急性期における血圧高値をできるだけ早期に収縮期血圧140mmHg未満へ降圧し、7日間維持することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)。その下限を110mmHg超に維持することを考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル低)

脳卒中ガイドライン2021 116pより

2015年版でも血圧コントロールは140未満の記載がありましたが推奨度がCからBに格上げされました。

また徹底的に血圧を下げればいいというわけではなくほどほどにということでしょう。

急激に血圧を下げすぎると逆に脳梗塞を発症したり、急性腎障害を合併させてしまう恐れがあります。

降圧薬としてはCa拮抗薬(ニカルジピンやジルチアゼム)、硝酸薬(ニトログリセリンやニトロプルシド)が推奨されています。

個人的にはニカルジピンで降圧を開始し、増量してもコントロールが悪い場合はニトログリセリンを併用することが多いです。

抗血栓療法中の脳出血

ワルファリンを服用し、PT-INRが2.0以上に延長した脳出血患者へのプロトロンビン複合体製剤の投与は妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)。その際、PT-INRの再上昇を避けるためビタミンKを併用することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル低)

ダビガトラン内服中の場合、イダルシズマブを投与することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)。

脳卒中ガイドライン2021 118pより

2015年版では推奨度CであったビタミンKの併用は推奨度Bに上がっています。

PT-INRが2.0以上に延長したワルファリン内服中の脳出血患者に対してビタミンK併用下でのプロトロンビン複合体製剤(PCC)と新鮮凍結血漿(FFP)の効果を比較したRCTでPCCとビタミンKの併用が血腫拡大率と死亡率を有意に低下させたという結果によるものでしょう。

PCCの投与量
・PT-INR 2.0以上、4.0未満の場合:25IU/kg

・PT-INR 2.0未満の場合:保険適用外使用だが10-25IU/kg投与を考慮してもよい

ビタミンKの投与量
PCC投与後10mg静脈投与。再上昇時に追加投与。
ただしPT-INR是正の即効性はない。

ダビガトラン(プラザキサ®︎) には特異的中和抗体イダルシズマブがあるが、リバーロキサバン(イグザレルト®︎)、アピキサバン(エリキュース®︎) 、エドキサバン(リクシアナ®︎)には日本では承認薬がありません。
海外ではデコイ蛋白の中和効果が示されている。

DOACは体重、腎機能、服薬コンプライアンスで多少違いはありますが、非専門医の先生はどれか一種類を使いこなせるようになることが重要です。

まとめ

2021年版では脳出血に関しては大きな変更なくマイナーチェンジといった印象です。

元々の血圧や背景疾患により血圧コントロールは調整が必要です。

臨床では少なからず患者さんに合わせたオーダーメイドの判断をする時があります。
それが不要ならそれこそAIに全てを任せればいいだけですからね。

また、詳しくは記載しませんでしたが被殻出血の治療に対して開頭手術と合わせて神経内視鏡の記載もありました。
内視鏡の方が手術時間が短くなるのでいいですよね。

よければ脳卒中一般編もご覧ください。

脳梗塞

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