【研修医・看護師向け】コンサルテーションの極意

コンサルテーション、皆さんは得意でしょうか。

医療現場ではどの立場の職員でもコンサルテーションをする機会は多いと思います。

「コンサルテーションが苦手だ。」「あの先生に怒られた。」「何を言いたいのかよくわからない」
といった言葉をよく私も聞きます。

実際、自分がコンサルテーションを受ける立場の時に「少しのコツで劇的に改善されるのに」と
もったいない気持ちになることが多くありました。
そこで自分の視点からえたコンサルテーションの極意を3つ挙げました。

極意1:結論をすぐに伝える

よくあるがっかりコンサルテーションの代表例は結論が最後までわからないものがあります。
そもそもコンサルテーションは自分の要望(結論)を相手に伝えるためにあります。

コンサルテーションを受ける側も相手の要望に対して自分が何ができるかを考えながら聞いています。

前置きが長いコンサルテーションだと受け手も情報を取捨選択できず煩わしく感じてしまいます。
先に結論が分かるとコンサルテーションを聞きながら自分の頭の中で整理することができます。

例1)
研修医A:ぷかぷか先生、すみません。お時間よろしいでしょうか。
     救急外来にめまいの人が来ていまして・・・
     既往は高血圧と糖尿病があります。年齢、性別は64歳女性です。
     めまいは浮遊性で、3時間前の発症です。
めまいは持続しておりまだ歩けずにベッドで横になってます。
     頭部CTを施行した所、脳出血はなさそうでした。麻痺などもありません。
     バイタルはですね、血圧160/100mmHg, 心拍数80/分, SpO2 100%, 体温 36.5度
     心音は特に雑音などは聞こえず、呼吸音も問題ありませんでした。
     腹部の診察では圧痛もありませんでした。
     頭部MRIまで施行した方がいいでしょうか?

ぷかぷか:うーん、前置きが長すぎてどれが重要な情報がわからんかったわ。
     ちょっと一緒にプレゼンテーションのやり方考えてみよか。

研修医A:お願いします!

ぷかぷか:まずは先に結論を伝えた方がいいで。
     起承転結ってあるけど、せっかちな医者には結から言ってくれた方がありがたいわ。

改訂版:ぷかぷか先生、すみません。お時間よろしいでしょうか。
    頭部MRI施行の必要について相談させてください。
    救急外来にめまいの人が来ていまして・・・
    既往は高血圧と糖尿病があります。年齢、性別は64歳女性です。
    めまいは浮遊性で、3時間前の発症です。
めまいは持続しておりまだ歩けずにベッドで横になってます。
    頭部CTを施行した所、脳出血はなさそうでした。麻痺などはありません。
    バイタルはですね、血圧160/100mmHg, 心拍数80/分, SpO2 100%, 体温 36.5度
    心音は特に雑音などは聞こえず、呼吸音も問題ありませんでした。
    頭部MRIまで施行した方がいいでしょうか?

ぷかぷか:赤文字で直したところは大事な情報や。
     先に結論を伝えてくれたら頭の中でこういう風に重要な情報だけピックアップしやすいやろ。

研修医A:確かにスッキリしましたね!これからは結論を先に伝えるようにします。

極意2:結論+SBARの順で話す

プレゼンテーションに慣れていない間はどのような順番で話せばよいか迷うと思います。

そんな時に使えるのが「SBAR」です。

SBARとはアメリカのプロビデンス病院の看護師教育の一貫で導入されたコンサルテーション
の方法です。

S:Situation(状況)

B:Background(背景)

A:Assessment(アセスメント)

R:Recommendation(提案)

アメリカはこういった語呂合わせが好きですよね。ただゴロで「型」を統一しておけば
急変など急ぐ状況、自分が不慣れな分野の相談などで落ち着いて対応できると思います。

先程の研修医A君のコンサルテーションをSBARに当てはめてみましょう。

S(状況):救急外来にめまいの患者が受診している

B(背景):高血圧や糖尿病などの脳卒中発症リスクがある。
     めまいは持続しておりまだ歩行できていない。 CTでは脳出血など異常はなかった。

A(アセスメント):検査では問題なかったが、脳梗塞のリスクが高い患者である。
         めまいはまだ持続しているのは心配。

R(提案):頭部MRIまで撮影するべきか判断をお願いします。

SBARに当てはめて情報を整理すると、自然と自分の思考回路も整理されます。
最初は時間がかかるかもしれませんが、型にはめる施行回数を増やすことで自然とスピードも上がります。野球の素振りと同じで決まったフォームで繰り返すことが重要です。

極意3:TPOを考慮する

何を当たり前のことを言ってるんですかと反論されるかもしれませんが、当たり前なようでできていないとかなりがっかりコンサルテーションになってしまいます。

そもそもTPOとは
Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)の頭文字をとった略語です。
服装だけじゃなくコンサルテーションもTPOを意識するだけで相手を納得させる成功率が高まるので
頑張りましょう。

・Time(時間)
相手に相談する「時間」を意識することは大切です。時間外の夜中に朝でいいことをコンサルテーションされると不機嫌になってしまうのは一部の聖人君子以外は当たり前ですよね。
自分を基準にするのではなく、相手の基準で「時間」を意識してあげる思いやりが大切ですよね。


また逆に急ぎではないお願いをするときは相手の判断能力が鈍っている「時間」を狙うのも一つの手ですね。よく私は上司に休みの相談や当直の交代のお願いなどは昼食後の14時頃など眠気で判断能力が鈍っている時を狙って交渉しています(笑)

・Place(場所)
外来中や手術中など相手が忙しいことがコンサルテーションの前にわかっている場合は、
緊急の用件でない限り避けるのがベターです。
またコンサルテーションをする場所が急いでいる救急外来なのか、回診が終わりゆっくり病棟でカルテを書いている時なのか場所によりコンサルテーションの長さや内容を調整するといいでしょう。

Occasion(場合)
これまで時間や場所でコンサルテーションを避けた方がいい状況を述べてきましたが、急を要する場合は躊躇うことはありません。
誰しも納得するような根拠があれば前述の「時間」や「場所」は二の次になります。
その根拠をきちんと自分の中に用意することが大事です。
なんでもかんでも分からなければ聞けばいいやーの魂胆が相手に見透かされた瞬間にがっかりコンサルテーションに変わってしまいます。

まとめ

  1. まず結論を伝える
  2. SBARを使う
  3. 相手のTPOを意識する

コンサルテーションを勉強している人に取っては当たり前の内容ですが、
あまり意識せずになんとなくでコンサルテーションをしていた人はこの3つだけで改善されると思います。また機会があれば状況別の各論的なコンサルテーションの記事も書いてみたいと思います。

読んでいただきありがとうございました。

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