【書評】私の財産告白〜資産運用だけでなく人生訓としてのバイブル〜

投資・節約

こんにちは。

今日は「私の財産告白」を読んだのでレビューしたいと思います。
この本は1950年に本多静六著作で刊行された本です。
私は新装版を読みましたが、70年後の現在でも十分活用できる示唆に富んだ良書だと感動しました。
この本はタイトルにも書いたとおり資産運用だけでなく「どのように生きるか」といった人生訓にも富んでおり人生のバイブルとしても秀逸です。

私の財産告白 (実業之日本社文庫) [ 本多静六 ]
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本多静六とは

本多静六(ほんだせいろく)氏は1866年埼玉県菖蒲町生まれ。
大河ドラマでも話題の渋沢栄一と同年代を生きた人物です。

貧農に生まれながら苦学の末、東大農学部に入学。
一度は落第し、悲観して古井戸に投身自殺を試みるも死に切れず、一念発起の末に猛勉強し首席で卒業。
ドイツに留学した後、最終的には東大農学部教授を務める。

研究生活の傍ら「四分の一天引き貯金」など独自の蓄財投資哲学を実践し、莫大な財産を築いた。
しかし築いた財産は、「人並外れた大財産は子孫にとって有害無益である」と定年を期に全財産を匿名で寄付した。

このプロフィールだけでも波乱万丈ですよね。
貧農から東大へ入学。落第するも首席で合格。一代で莫大な財産を築いたものの全て匿名で寄付。
人生の山と谷を何度も行ったり来たりしているようです。

「四分の一」貯金法

あらゆる通常収入は、それが入ったとき、天引き四分の一を貯金してしまう。さらに臨時収入は全部貯金して、通常収入増加の基に繰り込む。

p. 24 本多式「四分の一」貯金より

これは特に目新しいアイデアではないですよね。

本多氏も
“アイデア自体は珍しいものではなく、過去の先人達の貯金法と一致している。しかしそれを実行しようと決心したことが重要である

確かに昨今の資産運用系の書籍やYoutubeなども資産形成のための貯金の重要性を述べています。
まずは「貯める力」をつけないと偶然、莫大な資産を手にしてもそれを維持したり、さらに大きくすることは難しいでしょう。
億単位の宝くじが当選した人やFXや仮想通貨で一時的に資産を得ても浪費の末に不幸な結果になった人はたくさんいます

ではなぜ「貯める力」が重要なのでしょうか?
それは、バスタブの湯を資産に例えると貯蓄の力がないことは栓のないバスタブと同様だからです。
栓のないバスタブにいくら大量の湯を注いでも一向にたまらないですよね。
偶然、満杯になったバスタブも栓がなければいつかは空になってしまいます。
まずはしっかり栓をして少しずつでもいいので湯をためていくことが資産を増やす鉄則です。

天引き四分の一貯金の秀逸な点は二つあります。

  1. 強制的に四分の一貯金できる
    これは当たり前ですよね。先に給料から天引きしておくと強制的に一定額貯金することができます。
    月末に余ったお金を貯金するというやり方もありますが、月により支出の変動があったり一貫性がありません。
    自分の肌感覚でも貯金が多い人は先に給料から天引きしている人が多い気がします。
    また四分の一に囚われず、個人が可能な範囲で増額するとより効果的だと思います。
    手取り20万円の人が四分の一である5万円を天引きするのと、手取り100万の人が四分の一の25万円を天引きするのでは難易度が違いますよね。自分の生活と照らし合わせて可能な範囲で天引き額を増やすことをお勧めします。
  2. 収入の四分の三で暮らすことになれる。
    貰った分に合わせて生活の質を上げたくなるのが人情だと思います。しかし先に天引きすることで収入の四分の三で生活することに慣れることができます。最初はきついかもしれませんが自分の生活の質をあえて抑える能力は、節約の基礎体力をつけることができます。
    昨今のコロナショックなど、不慮の事態で収入が下がることがあっても、もともと四分の三で生活することに慣れていたので急場を凌ぐことができるかもしれません。

職業の道楽化

人生の最大幸福は職業の道楽化にある。富も、名誉も、美衣美食も、職業道楽の愉快さには比すべくもない。

みなさんは道楽というとどんなイメージがあるでしょうか?
休日のゴルフなどの趣味、高級車や時計、ミシュラン星付き店でのディナー。
これら全て道楽です。しかし本多氏は最上のものは職業を道楽とすることと述べています。

これは「仕事を楽しめ」という外資系のバリバリエリートサラリーマンの決め台詞ではなく、
道楽のようにしてもしなくてもいい存在に仕事の立ち位置を変化させることだと思います。

最近のFIREブームとは違う意見ですよね。
FIREのように仕事を引退してしまうのではなく、「今の仕事をやめても生きていけるけど趣味で仕事をやっている」という状態が最高ということですね。
生活のための職業では精神的負荷が強いですが、生活自体は既に経済的自立をしている状態だと職業に対する自分の気持ちも変わってきそうですね。
いつか自分も趣味で脳外科医をしていると言えるように日々精進していきたいと思います。

まとめ

ここではほんのわずかな部分のみを紹介しましたが、厳しい現代を生きる私たちにも新鮮な情報がたくさん詰まっているのでぜひ一読していただければ幸いです。
資産形成のコツのみならず処世術など本多式哲学が詰まった人生のバイブルだと思います。

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